まえおき
SFアンソロジー
— VG+ (バゴプラ) クラウドファンディング実施中! (@vagopla) 2022年3月28日
『新月』
筆者25名
勝山海百合
吉美駿一郎
佐伯真洋
枯木枕
大竹竜平
坂崎かおる
一階堂洋
葦沢かもめ
泡國桂
佐々木倫
三方行成
十三不塔
白川小六
千葉集
苦草堅一
正井
水町綜
武藤八葉
宗方涼
もといもと
赤坂パトリシア
稲田一声
巨大健造
淡中圏
原里実https://t.co/tGjDjHYxam
このたび、SFメディアのVG+(バゴプラ)さんが立ち上げた新しいSF書籍レーベル Kaguya Books にて、今年8月に刊行されるアンソロジー『新月(NEW MOON)』に、私(稲田一声)の書いた小説を載せていただくことになりました。
『新月』には、かぐやSFコンテスト受賞者と最終候補者の書き下ろし20作+公募作品5作の計25作が収録されるのですが、その公募枠に選出いただいたのです。めでたい!
驚いたのは、私の大学文芸サークル時代の先輩である淡中圏さんもまた公募で選ばれていたことです。これはさらにめでたい!
というわけで、この記事では淡中圏さんの小説のなかでオススメの短編を10作紹介しようと思います。すべてWeb上で無料で読めます。
【本題の前にちょっと宣伝】
淡中圏さんや稲田一声の新作短編が収録されるSFアンソロジー『新月(NEW MOON)』は、3月末までクラウドファンディングにて先行予約受付中です。
(下記リンク先の「かぐやSFアンソロジー(仮)」というリターンです)
他にもエッセイ集「私の小説の書き方」や、蜂本みささんの初長編など、魅力的なリターンばかりです。どうぞよろしくお願いいたします。camp-fire.jp
Webで読める淡中圏さんの短編おすすめ10作
1. 「この小説の読み方」(約2,000字)
タイトルの通り、この小説の読み方について書かれた小説です。これを読めば、この小説の読み方がわかって便利ですし、淡中圏という人の主な作風もよくわかることでしょう。
なお、最後の文の内容は今では無効になっているようです。お問い合わせの際は作者本人のツイッターにでもご連絡ください。
2. 「都市の環境再生について」(約3,000字)
ニュース番組の特集ふうの文体で書かれた高速道路SFです。故郷の懐かしい風景が荒廃していくのを目の当たりにした主婦が、その熱意で人々を動かし、都市の環境を再生させようとします。
Webサイト版には作者の解説コメントもついています。
3. 「「未来」の学校」(約4,000字)
機械学習手法の一種であるGAN(敵対的生成ネットワーク)を題材にした、世界創造SFです。第1回かぐやSFコンテストでは、審査員長・橋本輝幸さんの Honorable Mentionリストに選ばれました。
Webサイト版はこちら。
4. 「騙し絵小説とは何かを考えてみた」(約10,500字)
「騙し絵小説」なるものについての考察と実例です。どうすれば騙し絵のような小説が書けるでしょうか?
実際には「Get/Lost」「一人だけいる部屋」という二つの短編と一つの解説で構成されていますが、ブログとしては一記事なので一作扱いで。完璧な世界地図をつくろうとする男の物語と、見るものすべてが偽物のように感じてしまう男の物語です。
5. 「違います」(約7,000字)
その主人公は自分がフィクションの中の人物だと気づいてしまいましたが、その一方である致命的な勘違いをしていました。
なんとなくアンソロジー的な順番を意識しながらおすすめ作品を並べているんですが、このあたりはメタな仕掛けを使った小説が続きますね。この小説をはじめて読んだときにはめちゃくちゃ笑ってしまいました。
6. 「蛹の日」(約3,000字)
ここらでちょっと趣向を変えまして、今度は幻想ホラーです。夜中に水を飲もうとキッチンに行った川平彩子が目にしたのは、床に倒れ伏す父親の姿とべたべたした薄緑の粘液でした。
Webサイト版には作者の解説コメントもついています。
7. 「Private Neologism」(約5,000字)
すぐに新しい言語をつくってしまう彼女と、毎回彼女の言語を日本語に翻訳しようと苦心する彼の奇妙な蜜月旅行。お察しの通り言語SFです。
難しい専門用語や元ネタのある描写についてはリンクが貼ってあるという、Webならではの親切設計。
8. 「毒の庭」(約10,000字)
自分でつくった毒草園の中にいるときだけは心が安らぐ王と、全身が毒の塊である少女のおとぎばなし。このあたりからだんだん作品の傾向がエモーショナルな方向に進んでいるかもしれません。
Webサイト版には作者の解説コメントもついています。作品全体の構造にも注目です。
9.「自由数学小説F(自然数論):さみしい自然数 ただしこのFとは,忘却関手 U:小説→散文 の随伴である.」(約4,500字)
The Dark Side of Forcing Vol.2 (PDF)
(※PDFの53ページ目から読めます)
淡中圏さんは数学同人サークル The Dark Side of Forcing に所属しており、同人誌『The Dark Side of Forcing』を定期的に刊行しています。そこからピックアップする短編は、もちろん数学小説です。
仲間と言える存在が身近にいなくてひとりぼっちの自然数 n が、とある疑念を抱いたがために旅に出てしまいます。終盤の内容は専門的すぎて自分も完全には理解できていませんが、それでも面白く読むことができました。
10. 「彼女のワープ」(約7,500字)
ラストは、病室で十年ものあいだ目覚めることのない女の子と、彼女に成人式の記念品を届けにきた男の子のSF短編。
これも途中で突拍子もない事実が明らかになったりするんですが、僕はこの小説の最後の一文が好きで、初読時から十年以上経った今でも心に残っています。
おまけ(リンク集)
淡中☆圏 (@tannakaken) | Twitter:淡中さんのTwitterアカウント
淡中 圏の脳髄(永遠に工事中) :淡中さんの小説やウェブアプリケーション作品が公開されているWebサイト
けんさく。:淡中さんの小説などの創作(↑と被りあり)や評論・書評などが公開されているブログ
The Dark Side of Forcing :淡中さんが所属している数学同人サークルの既刊同人誌が公開されているWebサイト
じあまり書房 - BOOTH:淡中さんや私が参加している創作サークルの同人誌通販ページ