すでに締め切りまで一週間を切っていますが……遅くなってしまいすみません……みなさん進捗はいかがでしょうか……。
繰り返しになりますが、単なる読み落としや思い込み、勝手な実作への要望などが多々あるだろうと思います。また、講座を受ける前に書いた感想もあれば講座後に書いた感想もあります。作品によってころころ主張が変わっているかもしれません。すみません。
この記事では梗概38作中の後半19作(渡邉さん~遠野さん)について感想を書いています。
渡邉清文『プロフェッサー楓とアレクサンドロスの末裔』
- 感想交換会でうかがったこの作品のメタ的構造がとても面白く、ぜひ実作で読んでみたいと思いました(梗概でうまく伝わっていないのが惜しいです)
- と、感想交換会のときは思っていたものの、講座でのやりとりを考えると、実作でメタ的構造を採用したほうがいいのかどうなのか……、なんにせよ実作が楽しみです!
木玉文亀『ヒーローの見えざる手』
- 地球上のあちこちで同時多発的に異常事態が起こるところが、スケールが大きくて楽しいです
- プランクトンが改変されるのなら人間(や他の生き物)も改変された方が一貫性があっていいのかなと思いました(人間だけのために環境改変しているのではありませんよね?)
黒田渚『オール・ワールド・イズ・ア・ヒーロー』
- 外の世界で具体的に何が起こったのか、完全には明らかにならないところが好きです。不気味で居心地が悪く、独自の魅力を放っていると思います
- 劇中劇のようなかたちで、だんだんと不穏に変貌するストーリーを読んでみたいです
九きゅあ『選択子ノ宮』
- なんらかの決断をしない限り究極の選択が延々と続く、というシチュエーションはなかなかに恐ろしいです。テンポよくストーリーを収めることができれば、極限状況の怖さと面白さがぎゅっと詰まったスリラーになるのではないでしょうか
- 一方で、人間関係がちゃんと描かれていないと、読者がトハンの迷いに寄り添うことができず置いてけぼりになっちゃうだろうな……とも思いました
宇露倫『ロータス・ブレイヴ』
- かっこいい。主人公ももちろんかっこいいですし、国際災害救助機構と〈灯街〉の設定、テック災害というシチュエーション、制服を結合させたバリケードという解決法など、ひとつひとつがバチっと決まっていると思いました
- ただ、新米隊員という設定だったので、「主人公の未熟さが原因で何かミスを犯してしまうが、それをきっかけに成長する」というものを勝手に期待してしまいました
藍銅ツバメ『ペテン師モランと兎の星』
- 講座で、梗概には書かれていない設定がすらすらと語られていくのを見て「うらやましい……」と思いました(僕の場合、梗概を書き終わった時点では、書かれていないところはほぼ無なので……)。確固たる世界観があるのが強いです
- モランが実際に詭弁やトリックを駆使して人々を手玉にとるシーンを読んでみたいです
中野 伶理『ディスオリエント・エクスプレス』
- アピール文を読んで本作品におけるヒーローというものが分かり、面白い着眼点だと思いました。苦い結末も物語全体の雰囲気に合ってていいですね……
- この雰囲気なら時を超えるのに理屈はいらないと思うんですが、「午前零時に来る」というところには何か謂れがあると更にいいかな、と思いました
西宮四光『スタンド・アップ』
- 突きつけられたナイフ(のおそらく刃の部分)をジェイが強く握るシーンは、さらっとした記述にもかかわらず凄みがありました。梗概ではあまり語られていないジェイの背景がこの1シーンに込められているようでした
- 何も悪事を働いていない移民や何者かに暴行を受けている移民がいたとき、自警団は(ランパルトは)どうするのかが気になりました
泉遼平『赤いお父さん』
- まず、タイトルが好きです。スーツの重さと着用者の筋力の関係も面白いし、そういうふうに冷静に観察している主人公の冷めた感じも面白かったです
- 欲を言えば、終盤にもうひとひねり意外な展開がほしいなと思いました。いじめ問題が特に解決していないのもすこし気になります
安斉樹『生きている方が先』
- これも面白いタイトルだなと思いました。ストーリーも、オーソドックスな幽霊話かと思ったら、突然現れた少女を「自分達に縁深い人」だとすぐ確信するところなど、主人公が自分の知らないルールや価値基準で暮らしている感じがして面白いです
- 突然現れたのがひとりの少女だったというのは、死んだ父親や「竈三柱大神」や主人公がネットで調べた逸話などと少しちぐはぐになっている気がしました(いや、そのすっきりしなさが独特の余韻を生むのかもしれません)
藤田青土『パノプティコンの中心にいる僕』
- 犯罪者を洗脳して善人に変える法案って時点で「それヴィラン側の所業でしょ」と言いたくなるブラック具合なのに、洗脳されても結局みんな個人の欲望に溺れているという救われない設定が良かったです
- 梗概では各囚人の話にばかり興味が湧いてしまったので、主人公の物語もそれらに負けないぐらい強くしたほうがいいのかなと思いました
泡海陽宇『人類未踏の地、6分の一の世界。』
- 実在の人物をモデルにヒーローを描くというのは盲点でした。いろいろとハードル高そうですが、もし大丈夫ならぜひとも挑戦してほしいです
- できれば、梗概の時点で「もうひとつのストーリー」を具体的に示してほしかったです
宿禰『世代』
- 梗概では生物の不思議な身体・性質・生態が幻想的な感じがしましたが、アピール文では詳細な設定の種明かしが面白く、二度楽しめました
- ラストシーンでは、今ここでムクを食べないと絶対シンとリスは助からない、とムクが確信する理由または勢いがほしいなと思いました
松山徳子『彼女は決して名乗らない』
- 人類の成り立ちについての創造神話的な語りからはじまり舞台となる島国の現状へと至るところが、世界がだんだん広がっていくような感じがして良かったです
- その遠くまで広がっている世界観とくらべると、起こっている出来事がすこし小さすぎるのではないかとも思いました。また、「僅かな違和感を覚える」辺りの描写が意味深ですが、意図を読み切れませんでした……
東京ニトロ『FLIX!!』
- 梗概時点で登場人物がいきいきとしていると思いました。ただ巻き込まれるのではなく、みんなはっきりした目的があって、きちんと行動しているからでしょうか。とにかく読んでて楽しかったです(ボールド体も真似したくなりました)
- 外銀河連合にとって、灘くんを高さ3m(のロボット)にすることにどんなメリットがあったんだろうとも思いましたが、別にそこまでは気にならなかったです
一徳元就『バグイーター』
- 第1段落〜第3段落あたりの、時語りの怒りが込められたような文体が臨場感たっぷりで良かったです。「焼けた鉄器の上を転がる水玉のような」というたとえもかっこいいです
- ラストシーンで何が起こっているのか、梗概ではうまく読み取ることができませんでした。すみません……
- リベンジポルノを防ぐというヒーロー像に新しさを感じました。十一歳の少年がすでに自死していることなどが明かされて、はたして主人公の行動に意味はあったのか、と存在意義がゆらぐところも面白かったです
- 憲治が最終的に美恵の画像を削除した理由は、序盤に書いてある「誰かの名誉を守るため」ではなく、謎の依頼人からの依頼を遂行するためでもなく、法律を守るためでした。ここから、なぜその法律を守らなければならないのかという方向に踏み込むのも面白そうです
揚羽はな『赤い大地に降る雪は』
- ミステリ的な謎の提示や3分という時間制限にわくわくしました。マイケル・ベルダーが地球にいられなくなった経緯には(アピール文にもありましたが)現実の出来事が重なって感じられ、説得力があるなと思いました
- 「治療法を模索していたアリシアのおかげで、奇跡的に助かる」の部分については、実作では三分の壁を超えることができた理由が明確に書かれていたらいいなと思います
遠野よあけ『カンベイ未来事件』
- 感想交換会や講座での話を聴いて、この話でいう正義は「正義感」のことだよね、と思っています。物語中の社会がどのようなものなのか、最終的にどういう社会に変わっていくのかに興味がわきました
- 梗概ではところどころ分からないところもあったのですが、感想交換会で大丈夫って言っていたからきっと大丈夫なんだろうと思います