「夢オチ」縛りの小説・論考アンソロジー『息 -Psyche- vol.3』を2019/5/6文フリ東京で頒布します

2019/5/6(月祝)の第二十八回文学フリマ東京(ス-43)にて、「夢オチ」縛りの小説・論考アンソロジー『息 -Psyche- vol.3』を頒布します。

夢オチというギミックの魅力を再考しました。探偵×夢オチ、予知夢×夢オチ、百合×夢オチ……などなど、ただものならぬ夢オチばかりが集まったので、文学フリマ東京@東京流通センター(第一展示場)にお越しの際はぜひお手に取ってみてください。明日です……!

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第二十八回文学フリマ東京【アナクロナイズド・スイミング】おしながき

 

【特集「夢オチ再考」】

17+1「夢オチ探偵」

巣雲島一族連続殺人事件を解決する、と名乗り出たのは名探偵・夢野ノジカ。関係者を集めて犯人を告発するかと思いきや「いや全然分かりませんけど」と衝撃の告白。推理の代わりに夢野ノジカが提案する『奥の手』とは――夢オチ!?

17+1「逆夢」

豪華客船でのバカンスを『僕』は満足に楽しめていなかった。ここ最近ずっと奇妙な夢ばかりを見るのだ。『おねしょの夢を見て、目覚めるとプールにいる』みたいに、物語でよくあるパターンとは正反対の夢/現実を。プールバーでたまたま出会った医師に『僕』は悩みを打ち明けるが……。

みた「ふたりがキスしたら即夢オチする連作短篇集(百合編)」

タイトルの通り、ふたりがキスしたら即夢オチする連作短篇集です。百合編です。主人公のみこりんと、その幼馴染みのちぃ子。ふたりのめくるめく関係性は、はたしてどこへたどり着くのか。

渋江照彦「巡夢あるいは「夢見」の素描」

暗闇のなか目覚めた『僕』。不安にさせる女性の笑い声。「何、逃げようとしてるの?」。雨の様に降るドロリとした液体。錆びた鉄の臭い。変な夢の数々。現夢合一論。巡夢。「夢見」とは一体……。

月橋経緯「(愚考)虚構信者よ浮遊しろ 〜乱歩の短篇から夢オチをかんがえる」

江戸川乱歩の短編でよくみるドンデン返しが『夢オチ』の構造に近いことを手掛かりに、夢オチの魅力と可能性をさぐる論考です。

淡中圏「夢オチの話をしよう」

夢オチが「がっくりなオチ」だとされているのはなぜか、夢オチを面白くするために「理解のための基礎」をどう構築するかなど、実作例を挙げながら検討していきます。

 

サンプル

Twitterで夢オチ作品のサンプル画像を公開しています。

 

 雨月物語×SF『雨は満ち月降り落つる夜』

【ス-40/雨月物語SF合同】で頒布される、雨月物語をSF的視点から再解釈した小説合同誌『雨は満ち月降り落つる夜』にも寄稿しています。こちらもよろしくお願いいたします。

17plus1.hatenablog.com

 

雨月物語×SF『雨は満ち月降り落つる夜』@文学フリマ東京(2019/5/6)に寄稿しました

2019/5/6(月祝)の第二十八回文学フリマ東京(ス-40)で頒布される、雨月物語をSF的視点から再解釈した小説合同誌『雨は満ち月降り落つる夜』に寄稿しました。

特設サイトはこちらです。

www.sasaboushi.net

 

僕(17+1)は『浅茅が宿』を担当しました。浅茅が宿×スマートホーム×共犯者蟹SFです。共犯者蟹SFって何。

まあ、どこから蟹が湧いてきたかというと、雨月物語の作者である上田秋成のお墓が蟹の上に乗っかっていることから着想しました(「上田秋成 お墓 蟹」とかで検索してみてください)。

『雨は満ち月降り落つる夜』には各短編のもととなった作品のあらすじも掲載されており、雨月物語を読んだことがある方もそうでない方も楽しめる内容になっていると思うので、ぜひお手に取ってみてください。


主宰の笹帽子さんによる告知記事です。合同誌の趣旨、各作品の紹介、執筆者紹介が載っています。

雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』 #文学フリマ 東京にて (1) | 笹帽子の樹

雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』 #文学フリマ 東京にて (2) | 笹帽子の樹

雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』 #文学フリマ 東京にて (3) | 笹帽子の樹

 

執筆者のmurashitさんの告知記事です。こちらでも全作品紹介いただいています。

夜のみだらな雨と月 - 青色3号

執筆者のcydonianbananaさんの告知記事です。

雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』@文学フリマ東京 2019/5/6 - 鳰のような形をした僕の迂回路

執筆者のY.田中 崖さんの告知記事です。

雨月物語/雨月物語SF合同 | 水平線上の雨

執筆者の鴻上怜さんの告知記事です。

来月開催の文学フリマ東京に参加します - はてなブログ

執筆者の雨下雫さんは、サークル【シ-49/C1講義室】としても参加するとのことです。

 

 

また、僕の所属するサークル【ス-34/アナクロナイズド・スイミング】も文フリ東京に出店します。「夢オチ」縛りの小説・論考アンソロジー『息 -Psyche- vol.3』を頒布します。こちらもよろしくお願いいたします。

 

 

第二十八回文学フリマ東京(2019/5/6)の開催案内はこちらです。

bunfree.net

 

2015/9/2 円城塔『シャッフル航法』 出版記念トーク&サイン会のメモ

(※この記事は2015年9月6日に別のブログで書いた記事を加筆修正したものです)

円城塔『シャッフル航法』 出版記念トーク&サイン会

 に、行ってきました。

 小説を読むとき/読んだ後に、その小説に関連する情報を知ることによって、さらに様々な角度で味わえるようになると思います。また、小説を読むときだけではなく、自分が創作するときの視点も増えることでしょう。作品に関する情報の例として、あとがき、他の人の感想・書評、作品が書かれた時代背景、(解釈のひとつである)メディアミックス作品などがぱっと思いつきますが、作者本人が自作や自身の小説観について語った内容というのも重要な情報です。とても面白く、貴重な経験でした。

 トークイベントの間にメモしたことを以下にまとめます。聞いていて笑った箇所ばかりをメモったような気がします。正確に聞き取れていないところ、意図を取り違えているところもあると思います。大体は発言元は円城塔さんだったと思いますが、ゲストの山本貴光さんも折に触れて専門用語の解説や話の整理、独自の視点からの意見をされていたので、そのあたり混ざっているかもしれません。

メモまとめ

  • (配布された特製小冊子の充実ぶりを受けて)トークイベントの間、全員これを読めばいい
  • 当初のトークイベントのタイトル案は『文学のリファクタリング』だった
    • リファクタリングとは、出力されるものは変わらないままで、ちゃんとしたプログラムを書く(修正する)ということ
  • 最近、「ちゃんと書こっ!」と思った
    • ちゃんと生きよう
    • トークイベント用のメモに『きれいな言葉をしゃべろう』と書いてある
      • 対談を文章に起こしにくいらしい
  • 長編を書いていると、自分が何を書いているのかどんどん忘れる
    • 登場人物名を忘れる
      • 雨月物語ゲラ3日目だが、未だにキャラ名を間違える
    • 作風が作風なので許されるだろう……
    • しかし何とかしないと、かなり前衛の方に寄ってしまう
  • 機械の力に頼りたい
    • 『〈主人公1〉が〈動作1〉を〈n〉した』みたいに書いて、最後に一気に置換したい
  • 『プロローグ』の執筆中、小説に出てくる語の種類をプログラムで数えたら語彙が少ないことに気づいた
    • 形容詞が少なすぎる
      • 『赤い』とか『青い』とか
  • 書いたプログラムも可読性が低い
    • 時間との戦いで、良い文章/プログラムが書けない
    • (このトークイベントが)経営の話、ソフトウェア会社の危機みたいな話になっている
  • 出版社に頼みたいこと:diffを取ってほしい
    • 検索できなくなるからゲラを紙に印刷するのをやめよう
    • 構造が取れなくなるからPDFにするのもやめよう
    • 『〈主人公1〉が〈動作1〉を〈n〉した』の状態の時点で編集に渡して、「主人公2の登場頻度が少なすぎるのでは」みたいな指摘を受けたい
  • 『Φ』(『シャッフル航法』収録作)は、まず何文か文字数を考えずに適当に書いて、プログラムで長さ順に並べて、欠けているところを埋めた
    • 1文字だけ調整する、というのはとても難しい
  • 『シャッフル航法』(表題作のほう)は、シャッフル自体はプログラムによるものだが、(単にシャッフルするだけでは文章が無茶苦茶になるので)人手で文章の方を調整している
    • 意図せずして七音・五音ばかりになった
  • みんな自分なりの星野しずるを作るといい
  • みんな自分なりの文章を作るbotを作るといい
    • favの数で強化学習するbot、ありそうなのに意外とみない
    • favが多いツイートは頻繁に流すとか、あってもいいのに
  • 人間に合ったお話の構造を突き詰めていけたらいいな
    • 形式主体で進めていって、どこまでいったら構造が壊れるのかを見る
    • 形式でやっているときに感情は差し込めない。壊れたときに差し込むことができる
    • 人間が機械に感情を見出すのも、機械がバグったり、人間にとってうまくいかない状態のとき
  • 古典→現代文に、というのも一種のリファクタリング
    • 雨月物語などの翻訳をやってみてどう思ったか?という質問に対し)もうちょっと整然とやれるかと思ったが、できない
      • 自分の中の詩人がんばれ!
    • 何故整然とできないかというと、自分に古典の素養がないから
      • 雨月物語では活字版を底本にした
      • 和本版でもできるかな? と思ったが、変体がなが全く読めなかった

 ……このあとも、五段活用の不思議さについて、Yome Yome メオトドクショリレーでの協業について、おまけの特製小冊子についてなど色々なお話がありましたが、メモが乱雑になりはじめたのでこの辺りで終えたいと思います。

感想

 興味深いお話ばかりでしたが、『Φ』についてのエピソードが特に面白かったです。言われてみれば至極自然で効率的な書き方なのですが、『文単位では、基本的に前から順番に、読んでいる流れの通りに作者も書いているのだ』という先入観を自分が持っていたことに気づかされました。また、『Φ』のように特殊な構造の小説をプログラムを活用して書く一方で、『シャッフル航法』(表題作)のように、出力される作品の面白さのために入力する文章に手動で調整を加えることもある、プログラミングだけでは人間に合ったお話は(まだ)作れない、という点も面白かったです。

 また、これはどうでもいい話ですが、『〈主人公1〉が〈動作1〉を〈n〉した』みたいに書いて最後に一気に置換したいという話を聞いたときには、ドラえもんの『アルファがベータをカッパらったらイプシロンした』のギリシャ文字が変数である可能性が脳内に浮上しました。